アニメーターに復帰するまでにやったこと

もしかしたら誰かの役に立つかも知れないので備忘録的に書いておく。
紙作画時代に退職したアニメーター経験者が在宅でデジタルアニメーターに復帰しようとするときにも参考になるかも。
復帰しようと思った経緯も書くと長くなるのでそれは省略(一応ほぼこちらに書いてます)。

前段階

前提として復帰前・復帰後の状態を簡単に説明。

専門学校卒業後

プロダクションアイムズに入社し、約1年半勤務。

退社後

退社後の9年間は基本的に子なし専業主婦(家事手伝い)で、一時期別の業種の仕事もしていた(スーパーの品出しのパートとか)。
その間アニメ関係の仕事は一切取っておらず、在宅作業の経験もなかった。
2024年10月、在宅フリーアニメーターとして復帰を決意。

紙作画からデジタル作画へ移行する準備

デジタル作画は未経験だったが、会社勤務当時から趣味のお絵描き用に自宅にPC・板タブ(※)・クリスタPROは所有していた。※退社後は液タブへ移行
在宅で働くならデジタル作画の方が適しているかもと思い、デジタル作画へ移行することにした。

1.クリスタのアニメ制作環境を導入する

前提としてPC+液晶タブレットor板タブレット+CLIP STUDIO PAINT(通称クリスタ)が必要。
詳しくはこちらを参照

2.クリスタのアニメ制作機能を独学で覚える

こちらの記事やYouTubeの動画などを見て学習
2024年12月上旬まではゲームイラスト制作の仕事をしていたので、それが終わった中旬ごろに導入&学習した気がする。

3.2で学んだ機能を使ってクリスタで2原風イラストをトレスで描いてXに投稿する

↑こういう感じで投稿してみた。
練習で描いた非公式トレスなので、公式と間違えられないようにジャンル名のタグは省略。
まず一枚描いてみた結果、放映された画像をトレスして描くと見えてない枠外の部分が描けないという問題に気付き、Xに上がってる原画の画像を拾ってきてトレスする方針に変更。
↑二枚目がこちら。
好きなアニメのやつを描くでも良いし、別に本編観たことないやつをテキトーに拾ってきて描いてもOK。
現にこれを描こうと思った段階で、私はまだらんま1/2のアニメ本編を観たことがなかったw
「動物も描かれてるし練習になりそう」という理由でテキトーに選んで、これを描きながらNetflixでらんま1/2のアニメを垂れ流しで観てみたら面白かったのでハマったという経緯がある(んなアホな)
他にも選ぶ基準は、デジタルよりは紙の原画のほうがほどよい線の粗さ・薄さ・ゆらぎがあってトレスしやすい気がする。
本当は実際のレイアウト修上がりの素材を使って「他合わせ」の練習もできておいたら良いんだけど、そういう素材ってなかなかネットに上がってないのでトレス絵だけで良しとする。

4.Xのプロフィールに「アニメーター復帰志望」と書く

後から振り返るとこれはあまり意味がなかった。この段階でこれを書いてても仕事の相談が来ることはなかった。
「アニメーター志望」とか、仕事取れてなくても「出戻りアニメーター」とか嘘を書いた方がまだ仕事をもらえそう。

5.Xで制作進行さんを片っ端からフォローしてお声がけを待つ

※ツテがない場合。なにしろ昔いた会社は既に倒産済みだったので。
基本無言フォローで挨拶なしでOK。
こちらにも書いたけど、このアクションはかなり大事だと思う。これで後々仕事が来る来ないが左右されるし。名刺配りみたいなもの。
最初はフォロバも少ないけど、ちらほらフォロバしてもらえるようになって、段々増えてくる。
これはなぜかというと、制作さん同士フォローし合ってることが多いので、
フォローされる→「この人誰だろう?」とプロフィールを見る→共通のフォロワーが表示される→「あ、あの制作さんもこの人をフォローしてるのか。それなら信用できそうだからフォロバしておこう」という心理が働くからではないか?と推測している。

6.3を継続して行う

…予定だったけど、8をやったので結局行わなかった。もしこれを読んで参考にしようとしてる人はやってみてください。
といっても仕事もらえるようになった後も自主練で描くことはたまにある↓

7.クリスタEXをセールで購入する

クリスタのアニメ機能は、PRO版では1秒間(24フレーム)までしかアニメを作成できない。
しかし、前段階で「クリスタPROは所有していた」と書いた通り、実はここまでずっとPRO版を使っていて、EX版はまだ購入していなかった。
なぜかというと、
  1. マンガを描くの苦手だし描く予定もないのでマンガ機能は不要と思っていたから
  2. 今まで自主制作アニメを作る暇がなかったし、今後作る予定もなかったから
  3. クリスタは毎年6月と12月にセールが開催されてるため、12月に買おうと思っていたから
12月にセールが始まったタイミングでクリスタEXを購入。
13はPRO版でも一応できるので、実際に仕事もらう前ならセールまで待つのもあり。

8.求人サイトから在宅フリーのアニメーター求人に応募する

5でお声がけがなかったので自分から動くことにした。
某大手求人サイトでアニメーターの求人を探したけど、アニメーターって給料が安すぎて大手求人サイトには実際の条件で求人を掲載するのが難しく、ほぼムリなので、各社自分とこのサイトに求人を載せてるケースが多い。(といっても10年前自分が就活してたときの印象なので、最近は変わってきてるかもしれないけど。)
なので、大手求人サイトでは、ごく一部の稼げるベテランアニメーターの給料を参考に載せて「入りたてでもこれぐらいもらえますよ(嘘だけど)」っていうごまかし求人が多い。
そのごまかしっぽい求人を見て「まあどうせこんなにはもらえないんだろうな」と理解した上であえて騙されて応募してみたw

9.採用されたらその会社の制作さんから仕事を振ってもらう

ポートフォリオを要求されたので、昔自分が担当した紙作画の二原は手元にないので、3で描いたやつを数枚送ったら採用(といってもフリーで業務委託だけど)されて、2025年1月下旬頃に初めて仕事を振ってもらえた。
2で学んだ機能を使って実際に二原の作業をした。
今まで3みたいに1枚のやつしか描いたことがなかったので、ライトテーブルでの位置合わせや指パラなどの二原作業に必要な機能は実際に本番の作業をしながら覚えていった。
紙作画でもデジタル作画でも作業内容の本質は変わらないので、ソフトの使い方さえ覚えればなんとかなるはず。

10.メールやXのDMとかで来た別会社の仕事も受けてみる

9以外の会社の仕事も受けるようになった。フリーなので。

復帰した感想

リモートはパワハラがなくて楽!
(二原の場合)電話も不要でメールかDMなので楽!(素材をデジタルデータでやり取りするため)
自分は舐められがち&しごできないで、いままでアニメーター以外の業種ではどこの職場でも上司にイライラされて段々パワハラが始まってたけど、
私のような拘束なしでやってる人に依頼してくる制作さんは基本アニメーターを探すのに困ってて、引き受けると「助かります!!」て感じなので親切に対応してくれるし、パワハラが介在しない。
ただし、それにかまけずコンプラ(守秘義務)や納期は当然責任感を持って守らないといけない。
あと、やりとりの文面も丁寧に書かないといけない。アニメの仕事よりこっちの方が慣れないと時間かかって大変まである。自分は敬語とか疎くて苦手なので基本ChatGPTに相談しまくって書いてるw

フリーだと色んな会社の色んな作品に参加できて楽しい。その代わり作品ごとに異なる作画注意事項や設定資料を読み込む手間も必要になるけど。
本当は拘束とかもらって会社とか作品とか絞った方が稼げるんだろうけど、自分にはそんな実力ないし今のところその予定はない。

EDクレジットに個人名が毎回ちゃんと載るようになったのも嬉しい。動画じゃなくて二原だからというのもあるだろうけど。
会社時代は元請けなのに他社作品の動画やることが多くて(自社と他社半々ぐらい)、他社だと会社名でひとくくりになってて個人名までは載らないから自社ももうちょっとやらせてくれよーと思ってたし、
自社作品でも海外動画のリテイク作業もあって、それも同じく個人名が載らないからモチベーションも低かった。
という感じで、以前はほとんど名前が載ってなかったけど、復帰後に私が参加したアニメで私の名前を見た両親が喜んでくれて応援してくれてるのも嬉しい。
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もし他に知りたいことや聞きたいことがあればこちらのコメント欄、mondXのDMなどにお寄せください。

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